エナレディースクリニック
HOME > コラム > 妊娠中、おりものはどう変化する?特徴や注意すべき点をご紹介

妊娠中、おりものはどう変化する?特徴や注意すべき点をご紹介

医療法人みらいグループ
パンティーライナー、おりものシート

妊娠中はママの体にさまざまな変化が起こります。なかには、おりものに変化を感じて「これって正常?」「病気ではない?」と不安になるママもいるでしょう。

今回は、妊娠中のおりものの変化について詳しく解説します。妊娠中のおりものの変化や病気のサインであるおりものの見分け方、出産が近い場合のおりものの変化なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

おりものの役割と正常な色・粘度・におい

おりものとは、医学用語で帯下(たいげ)と呼ばれる膣や子宮頸管からの分泌液です。エストロゲンの影響を受けて分泌量や状態に変化が起こり、普段は透明かやや白みがかった色をしており、甘酸っぱいにおいを感じるのが特徴です。

おりものには、膣から細菌が入るのを防ぐ自浄作用や膣内の潤いを保ち受精しやすくする役割などもあります。

妊娠するとおりものも変化する

おりものはエストロゲンの分泌量に影響を受け、生理周期に合わせて変化します。通常時ならエストロゲンが生理周期に合わせて増減するのと共におりものも増減したり粘度が変化したりしますが、妊娠中はエストロゲンの分泌量の多い状態が継続されるため、おりものにも通常時とは異なる変化が見られます。

過度におりものの変化を気にする必要はありませんが、色やにおい、性状によっては病気や赤ちゃんの異常を知らせるサインとなることもあります。

正常な変化と異常な変化を見分けるためにも、妊娠中のおりものに対する知識を持っておくのがよいでしょう。

妊娠中のおりものの変化

妊娠中のおりものの変化は個人差が大きく、妊娠前と大きく変わったという人もいれば特に変わらなかったという人もいます。

変化の内容は一概には言えませんが、大まかに以下のような変化が見られたというママが多くいました。

妊娠初期のおりもの

妊娠初期のおりものには以下の変化がみられたという声が多く聞かれました。

  • やや粘り気のあるおりものになった
  • おりものの量が増えた
  • 色が少しだけ黄色っぽくなった

妊娠初期はとくにエストロゲンの分泌が盛んなため、おりものの量が多くなる傾向にあります

妊娠初期の体には、おりもの以外にも変化がみられるようになります。詳しくはこちらの記事も併せてご確認ください。

妊娠後期のおりもの

妊娠後期になり出産が近くなると、おりものがドロっとして白い塊のような形状に変化したという声も多く聞かれます。

また、おりものに少し血が混じる「おしるし」が出ることもあります。おしるしが出ると数日以内に陣痛が始まるとも言われており、出産が間近であるサインと思っておくとよいでしょう

妊娠中に注意すべきおりものの異常

おりものの異常、帯下異常
おりものは女性の健康のバロメーターとも言われています。妊娠中であっても病気や胎児の異常がみられると、おりものが変化することがあります。

異常にいち早く気付けるよう、注意すべきおりものの変化についても覚えておきましょう。

  • 黄色や黄緑、灰色など普段よりも濃い色のおりもの
  • ポロポロとした塊状のおりもの
  • 魚が腐ったような嫌な臭いを感じるおりもの
  • 赤やピンク、茶色などの血が混ざったおりもの
  • かゆみや痛みを伴うおりもの

おりものに上記のような異常が見られる場合、病気や胎児の異常を表すサインの可能性もあります。

おりものの異常から考えられる病気

おりものの異常は病気であることを知らせている可能性もあります。続いては、おりものの変化から考えられる可能性のある病気についてみていきましょう。

【黄色や黄緑色のおりもの】クラミジア

クラミジアの際には、おりものに以下の変化が見られることが多いです。

  • おりものが増える
  • 黄色や緑のおりものがでる

妊娠中にクラミジアに感染すると流産や早産のリスクが上昇すると言われています。また、出産の際には赤ちゃんに産道感染を引き起こし、肺炎や結膜炎になってしまう可能性もあるため、なるべく早く完治しておきましょう。

【白くポロポロしたおりもの】カンジダ膣炎

カンジダ膣炎の際には、おりものに以下の変化が見られることが多いです。

  • 白くポロポロしたカッテージチーズ状のおりものがでる
  • おりものが増える
  • かゆみがある

妊娠中はホルモンバランスの変化によって膣内でカンジダ菌が増殖しやすいと言われています。全ての妊婦の20~25%は、妊娠中にカンジダ膣炎を発症するとも言われる程、起こりやすい病気です。

軽症であれば妊娠に悪影響を起こすことはありませんが、極稀に子宮内まで感染が広がってしまうことがあり、早産や流産のリスクが上昇すると言われています。また、分娩の際に産道で赤ちゃんがカンジダに感染した場合、鵞口瘡やカンジダ性間擦疹などを発症することがあるため、早めに治療をしておきましょう。

【黄色や緑色のおりもの】淋菌感染症

淋菌感染症の際には、おりものに以下の変化がみられることが多いです。

  • おりものが増える
  • 黄色や緑のおりものがでる

淋菌感染症とは、通称「淋病」と呼ばれている性感染症のひとつです。感染しても約半数は自覚症状が出ないと言われており、気付かない間に感染が広がり重症化することもあるため注意が必要です。

淋菌は分娩の際に産道で赤ちゃんへ感染してしまう可能性があります。赤ちゃんが淋菌に感染した場合、結膜炎になってしまう可能性があるため必ず分娩までに治療を受け完治してください。

【生臭いおりもの】細菌性膣炎

細菌性膣炎の際には、おりものに以下の変化がみられることが多いです。

  • 黄色や緑色、灰色などのおりものがでる
  • おりものが生臭くなる

細菌性膣炎とは、免疫力が弱まることで膣内の細菌バランスが崩れ炎症を起こしてしまう病気です。妊娠中は特に免疫力が落ちやすく細菌性膣炎を発症しやすいため注意しましょう。アミン臭と呼ばれる魚が腐ったような生臭いにおいのおりものが出るのが特徴です。

細菌性膣炎は早産や流産のリスクを上昇させると言われています。また、分娩の際に赤ちゃんが感染すると、肺炎や髄膜炎を引き起こす可能性があるため、感染が分かった際には速やかに治療を受けてください。

【泡立ったおりもの】膣トリコモナス症

膣トリコモナス症の際には、おりものに以下の変化がみられることが多いです。

  • 黄色や緑色のおりものがでる
  • おりものが泡立つ
  • おりものから腐敗臭がする
  • かゆみ、痛みを伴う

膣トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫に感染して起こる病気です。性感染症とも言われていますが、まれに感染者が利用した風呂の椅子などに座ることでも感染する可能性があるため、公衆浴場などの利用にも注意が必要です。特に、妊娠中は免疫力が低下しトリコモナス原虫に感染しやすい状態と言われています。

妊娠中に膣トリコモナス症になると流産や早産のリスクが上昇すると言われています。

妊娠期間中に気にかけておくべきおりものの変化

おりものは病気のサイン以外に、赤ちゃんの異常や出産が近い事を知らせてくれる事もあります。

水っぽくサラサラしたおりものは破水のサインかも

妊娠期間全体を通して気にかけておきたいのが、水っぽくサラサラしたおりものです。赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れると、中を満たしている羊水が漏れ出てしまいます。

卵膜の破れた位置によっては、破水と気付かない位少量ずつ羊水が漏れ出てしまう事もあるでしょう。

おりもので下着がすぐに汚れる」「いつもよりサラサラしたおりものが長く続いている」という場合、医師に相談してみてください。

妊娠中は尿漏れなども起こしやすく、尿漏れか破水かおりものかを自分で判断するのは難しいです。破水が進行すると細菌が侵入して赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともあるため、気になる場合は速やかに受診してみてください。

正産期の血が混ざったおりものは出産が近いサインかも

妊娠37週0日から妊娠40週6日にあたる正産期に、赤やピンク、茶色などの血が混ざったおりものが出る場合、出産が近いというサインの可能性もあります。

これを「おしるし」と呼び、近日中に陣痛が始まる可能性があります。

しかし、おしるしには個人差があり一概には言えないため、何か気になることがあれば通院中の医療機関に相談することが大切です。
特に月経の多い日を超える量の出血で、血の塊などが混ざっていたり、サラサラした鮮やかな色の出血だったりするときは、おしるしではなく異常な出血の可能性があるため、すぐに診察を受けましょう。

痛みを伴う血の混ざったおりものは要注意

急な腹痛、持続的な痛み、多めの出血がみられる場合、赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離など、緊急性の高い症状の兆候である可能性があります。

常位胎盤早期剥離の場合、大量出血を起こし母子ともに危機的な状態に陥る事も珍しくありません。妊娠中、おりものの異常と合わせて強い痛みを感じる場合は、必ず医師の診察を受けるようにしましょう。

妊娠中のおりものをケアするポイント

下腹部をおさえる女性
おりものの異常にいち早く気付いて対応するのも大切ですが、日頃からデリケートゾーンのケアを適切に行うことも必要です。特に、妊娠中はおりものの分泌量が多くなりがちなため、適切なケアを怠ることで病気を発症してしまうケースも少なくありません。

通気性の良い清潔な下着を着用する

妊娠中は免疫力が弱まり、通常時なら問題のないような細菌などでも感染症に発展してしまう可能性があります。細菌感染は、通気性が悪く不衛生な状態が長く続くことでリスクが上昇します。

汗をかいたり、おりもので下着が汚れた場合には、こまめに下着を変えるなど清潔な状態を維持することを心掛けましょう。

通気性の良い下着を選び蒸れないようにすることも大切です。

おりものシートをこまめに交換する

妊娠中のおりもの対策として、おりものシートを使う人も多いでしょう。しかし、汚れたおりものシートを長時間放置してしまうと、かえって不衛生になってしまいます。

おりものシートは必ずこまめに交換するようにしてください。

デリケートゾーンを洗い過ぎない

おりものが気になるからといって、お風呂でデリケートゾーンを洗い過ぎたり、洗浄力の強い石鹸などを使ったりすると、かえって状態は悪くなります。基本的にはシャワーで軽く流す程度で充分ですが、どうしても石鹸を使いたい場合には必ずデリケートゾーン専用のものを使用しましょう。

また、デリケートゾーンを清潔に保つためにウォシュレットを使用する人もいますが注意が必要です。ウォシュレットも使用し過ぎると、膣を正常に保つ常在菌まで洗い流してしまい細菌等に感染しやすい状態になってしまうことがあります。

まとめ

妊娠中はさまざまな心身の変化に戸惑うことも多いでしょう。しかし、小さな違和感を見逃さず対処することで、ママや赤ちゃんの健康や安全を守れることもあります。

「いつもと少し違う気がする」と思った時には、医師に相談してみるのがおすすめです。何もなかった場合は、ママも赤ちゃんも健康に妊娠を継続できていることが分かって安心できるでしょう。

おりものは女性の健康を表すバロメーターです。今回紹介した内容を参考に、色や量、臭いの変化を感じたら早めに対応してみてください。

当院の産科の詳細はこちら
当院の婦人科の詳細はこちら

コラム一覧に戻る
この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。