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【妊活】赤ちゃんを迎える前に知っておきたい妊娠の仕組みと基礎知識!

医療法人みらいグループ
赤ちゃんを迎える前に知っておきたい妊娠の仕組みと基礎知識!

赤ちゃんを望んで妊活を始める人に知っていてもらいたい、妊娠の仕組み。
この記事では、女性のお腹の中で起こる妊娠の仕組みについて詳しく紹介します。

「これから妊活を始めたい」
「妊活を始めたけど、妊娠しない」

という人は、パートナーと二人で妊娠の仕組みについて学び直してみるのがおすすめです。
赤ちゃんを望む人が妊娠前に取り組むと良い4つのポイントも紹介しています。

これから赤ちゃんを迎えたい人は参考にしてみて下さい。

妊活とは

妊活とは、妊娠を望んでいる男女が行う妊娠するための行動を指します。妊娠しやすいように性交渉を行う、体質改善をするなど、個人で始められるような行動に限らず、不妊外来などでカウンセリングを受ける、生殖機能に関する検査を受けるなどの行動も妊活にあたります。

妊活というと、女性側が何らかのアクションを起こすイメージを持っている人も多いですが、近年男性の妊活についても認知が広まっています。

女性が出産できる性別であるため、妊娠の可否は女性側に委ねられていると考える人は少なくありません。しかし、実際は女性側の問題、男性側の問題それぞれが複雑に絡みあって妊娠に至っていないケースが多いです。

子供を望んでいる健康なカップルが避妊をしていないにも関わらず1年以上自然妊娠しない状態を不妊と呼びます。ある調査(※)によると、2021年に国内で不妊の検査や不妊治療を受けた事があるカップルの割合は22.7%とされており、4~5組に1組のカップルが不妊に悩んでいることが伺えます。

※出典:国立社会保障・人口問題研究所

自然妊娠の確率は意外と低い

結婚すると漠然と子供を持つことをイメージする人も多くいます。ある程度の若さが保たれていれば、望めばすぐに妊娠すると考えている人も多いでしょう。

実際は、健康に問題の無い男女が避妊をせずタイミングを合わせて性交渉した場合、妊娠する確率は20~30%程度と言われています。
この割合は、4~5周期に1度の割合とも言い替えることもできます。
「もっと高い確率だと思っていた」と驚く人も多いでしょう。

健康状態や生殖能力に問題があったり、適切なタイミングで性交渉を行わなかったりした場合、妊娠する確率はさらに低下します。

特に、妊娠の確率は年々低下することが分かっています。女性は35歳を境に妊娠する確率が急激に低下すると言われており、男性も35~45歳を境に妊娠確率が低くなります。

妊娠の仕組み

排卵から妊娠反応までの流れのイラスト

妊娠の成立には、さまざまな工程を必要とします。
一つ一つの段階をクリアして初めて、赤ちゃんという受精卵が女性のお腹に宿るのです。

妊娠の仕組みを知り、赤ちゃんがどのように女性のお腹へやってくるのかを紹介していきます。

排卵

排卵とは、卵子が卵巣から排出されることです。
受精卵になるためには必要不可欠なので、排卵が正常に行われないと妊娠の成立はあり得ません。

排卵のプロセスは月経中から始まっています。
脳下垂体から放出されるFSH(卵胞刺激ホルモン)が、卵子の素となる卵胞の発育を促します。
排卵される卵子は基本的に1個。複数の卵胞の中で、1番大きく育ったものが卵子として受精のチャンスを得るのです。

卵胞は20mm程の大きさになると、脳下垂体からLH(黄体ホルモン)が分泌されて排卵を行うよう促します。
卵巣から排出された卵子は、卵管采に捉えられることで卵管内に入り込むことができます。

赤ちゃんの素となる卵子ができるまでの間に、既にこれだけでの工程がある事に驚く人も多いでしょう。

受精

性交渉を行うと、1度の射精につき4000万個以上の精子が精液として膣内に侵入します。放出された精子は数十分から数時間をかけて移動。
膣から子宮、卵管へと進み卵子を見つけるとその周りを取り囲みます。

射精時は4000万個以上あった精子ですが、卵子に辿り着けるのは100~1,000個程度。
卵子に辿りつくまでに力尽きる精子の方が多く、生命力の強い精子だけが卵子まで辿りつくことができるのです。

選ばれた精子の中からたった一つの精子だけが卵子の中へと入り込むことができます。
精子の入り込んだ卵子は、受精卵となり赤ちゃんへと成長していくのです。

受精胚の移動

卵子が受精卵になると、細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動を始めます。

受精卵となって約30時間後には2個の割球に細胞分裂を開始。
約40時間後には4個、約60時間後には8個と細胞分裂を続けながら卵管内を移動していきます。

受精卵が子宮に到着するまでにかかる日数は5~6日。
その間、受精卵は細胞分裂を続け胚盤胞と呼ばれる状態になって、子宮に根を張る準備を始めます。

着床する

子宮に到着した胚盤胞は、子宮内膜に潜り込みます。
この現象を着床と言い、ここで妊娠が成立したと言えます。

子宮内膜に潜り込んだ胚盤胞は、羊膜や胚盤、卵胚嚢などを形成しながら根を下ろすように成長。
赤ちゃんの成長と同時進行で、ママの体から栄養や酸素を供給してもらうべく、胎盤を作る準備に取り掛かっていきます。

妊娠反応が出る

着床から約10日で妊娠反応が出始めます。
まずは、生理周期を1週間過ぎても生理が起こらなかった場合に、妊娠検査を行ってみるのが良いでしょう。

あまりに検査をするのが早すぎると、ホルモンが上手く検出されないことがあります。
また、正常に妊娠しているのか確かめる必要もあるため、妊娠検査はあまり遅すぎてもいけません。

【妊娠の基礎知識】精子や卵子の寿命とは

一般的に、卵子の寿命は6~24時間。精子の寿命は2~3日と言われています。
それぞれに個体差があるため、36時間の生存が可能な卵子や、5日以上生き延びる精子もいると言われています。

それぞれ、寿命が尽きると受精機能は失われてしまうためタイミングが重要です。
特に、卵子は最近の研究により寿命と受精可能時間が異なることが分かってきています。

卵子の受精可能時間は排卵から6~8時間とも言われており、赤ちゃんを迎えるためには、的確なタイミングでの性交渉が欠かせないと言えるでしょう。

排卵が起こる前日と当日に性交渉を行うと、精子と卵子が出会いやすと言われています。

妊活の3つのポイント

妊活を始める際は、まず夫婦で話し合いを十分に行う必要があります。そのなかでも、特にお互いに共通認識を持っておくべき内容を紹介していきましょう。

妊娠の仕組みを知る

学生時代、性教育などで妊娠の仕組みについて学んだ事のある人が多いでしょう。しかし、実際には記憶が曖昧になっていたり、避妊をせずに性交渉をすれば妊娠すると考えている人も決して少なくありません。

女性ですら生理や排卵がどのような仕組みで起こっているのか知らない人もいる位です。男性だけに知識を強要するのではなく、夫婦で一緒に妊娠がどのような仕組みで起こっているのかを学びましょう。

排卵するタイミングで性交渉をしなければ妊娠しないことや、どのような周期で排卵が起こるのか、精子がどのように作られどれ位の寿命で入れ替わっているのかなど、妊娠についてよく学んでみてください。

妊娠しやすいタイミングを知る

生理周期から排卵日などを予測し、妊娠しやすいタイミングを知ることも大切です。生理周期の管理アプリなどを共用設定で利用すると、夫婦で妊娠しやすいタイミングを知りやすくなるでしょう。

健康な体作りの必要性を知る

妊娠には健康な体が欠かせません。もちろん、胎児を育む女性の体が健康であることも大切ですが、同じ位男性も健康な体作りが求められます。

特に、運動不足、肥満、飲酒、喫煙などは卵子や精子の質を低下させる可能性が示唆されています。生活習慣や食生活を見直し、夫婦で健康的な体作りを始めることから妊活を始めるのがよいでしょう。

今日から始められる4つの妊活

続いては、これから妊活を始める人に向けて、すぐに自宅で始められる妊活について紹介します。夫婦でよく話し合い、無理なくできるものから徐々に取り入れてみてください。

1.排卵日を把握する

妊活のファーストステップは、排卵日のタイミングに合わせて性交渉をすることから始まります。そのため、女性側の排卵日を把握する所から始めるのがおすすめです。排卵日を把握するためには、以下のような方法があります。

生理予測アプリを利用する

生理予測アプリでは、生理が起きた日などを入力することで、自動的に次の生理予定日を計算してくれます。多くのサービスで排卵日なども自動計算されて表示されるため、自分自身の排卵予定日を把握しておきましょう。

生理周期は必ずしも一定とは限らないため、多少の誤差はありますが大まかな排卵予定日を知るだけでも妊活をしやすくなります。

基礎体温を計測する

基礎体温 生理周期が28日の人の場合
女性の体内では2種類のホルモンが周期的に分泌されることで排卵や生理が起こっています。これらのホルモンは基礎体温に変化をもたらすため、毎日基礎体温を計測することで比較的正確な排卵日の把握が可能です。

基礎体温の計測を日課にしておけば、実際に妊娠した際にも早く気づくことができるでしょう。基礎体温は専用の体温計で計測する必要があるため、ドラッグストアや電気屋さんなどで基礎体温計を購入して計測してください。

排卵検査薬を使う

より正確な排卵日を知りたい場合は、排卵検査薬を使用するのがおすすめです。生理予測アプリや基礎体温表などから大まかな排卵予定日を割り出し、排卵検査薬を使用してタイミングを計りましょう。
排卵検査薬はドラッグストアなどで購入可能です。排卵検査薬で陽性反応が出たタイミングで性交渉を行うことができれば、妊娠の確率は比較的上昇すると言われています。

2.食生活を見直す

食生活を見直すことは、妊活に向けて健康な体を作るための重要なポイントです。特に、以下の内容を意識して食生活を見直していくのがよいでしょう。

葉酸を積極的に摂る

葉酸はビタミンB群に属し、細胞分裂に関わる栄養です。妊娠前から意識的に摂取しておくことで、胎児が脳や脊髄などを作るサポートをしてくれます。

妊娠初期に葉酸が不足していると、二分脊髄症や無脳症、神経管閉鎖障害などの発生リスクが上昇するとも言われており、妊活中の人や妊婦が十分に接種しておくべき栄養素として推奨されています。

また、葉酸は正常な赤血球の生成にも関係している栄養素です。貧血の予防などにも効果が期待できるでしょう。

男性の場合、葉酸を必要量摂取することで精子の質を高める効果も期待できると言われています。女性だけでなく、男性も葉酸をしっかりと摂取することが大切です。

五大栄養素をバランスよく摂る

妊活にはホルモンバランスも大きく影響します。健康な体を維持するための栄養をバランスよく摂ることで、ホルモンバランスにも良い影響を与えてくれるでしょう。糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を、満遍なく十分な量摂ることが大切です。

塩分や脂質の摂り過ぎを控える

塩分や脂質は摂り過ぎると生活習慣病や肥満の原因になります。特に女性の場合、肥満状態で妊娠してしまうと母子共に負担がかかってしまうこともあるでしょう。妊活の段階から、標準的な体重を維持しておくことも大切です。

男性の場合も、肥満は男性ホルモンの働きに影響を与え、精子の質を低下させる恐れがあることがわかっています。無理なダイエットは妊活には悪影響ですが、毎日少しずつ健康的な体になれるよう塩分や脂質を控えておきましょう。

3.喫煙や飲酒を控える

妊娠中の喫煙や飲酒はもちろんNGですが、妊活中も望ましいとは言えません。特に喫煙は、血流を悪くしてしまうため妊活をしたい人には悪影響を与えてしまう可能性が高いです。妊娠中や子育てを始めると、副流煙にも気を付けなければなりません。妊活中から禁煙を始めてみるのはいかがでしょうか。

飲酒に関しては「妊活中にお酒を飲むと妊娠の妨げになる」という根拠にはなりません。しかし、控えた方がよいのは事実でしょう。多量のアルコールが体に悪影響を与えることは広く知られていますし、お酒が残った状態で眠ると睡眠の質が低下しホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。また、缶チューハイやビール、カクテルなどはカロリーも高く肥満を引き起こす要因にもなり得るでしょう。

妊娠の可能性がない時期に適量程度であれば飲酒しても大きな影響はありませんが、毎日飲酒をしている人や一度に大量の飲酒をする人は控えるのがおすすめです。

4.規則正しい生活を送る

妊娠に必要なホルモンは、ストレスや過労などで簡単に乱れてしまいます。
排卵を促すホルモンや、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやくするホルモンも同様です。
まずは、十分な休息とバランスの取れた食事、適度な運動などを取り入れて規則正しい生活を心掛けましょう。
規則正しい生活は、女性だけでなく男性にとっても大切なもの。
妊娠には健康で生命力の強い精子も必要です。
精子の質は、睡眠不足や暴飲暴食などが原因で低下してしまうことがあります。
パートナーと2人で一緒に規則正しい生活を送るよう心掛けてみて下さい。

妊活の流れ

これから妊活を始める人やすでに妊活をしている人のなかには、どのようなタイミングでステップアップしていけば良いのか分からないという人も多くいます。一般的には、以下の流れで妊活を進めていくことを推奨しています。

STEP1.タイミング法

タイミング法とは排卵日のタイミングに合わせて性交渉を行う事を言います。排卵日を予測して性交渉を行うことで、妊娠する確率を上げることができるでしょう。

一般的に1年間タイミング法によって性交渉をしても妊娠していない状態を不妊と言います。1年を境に次のステップを検討するケースが非常に多いです。

一方、夫婦のどちらかが35歳以上の場合、約6カ月間タイミング法による妊活をしても妊娠しなかった場合、ステップアップを提案されることもあります。特に女性の体は35歳を越えると妊娠する力が急激に低下すると言われています。

夫婦の年齢によって、どの位の期間タイミング法を実践するのか、妊活を始める際に話し合っておくのもよいでしょう。

STEP2.不妊の原因を調べる

タイミング法からステップアップを検討する際には、まず不妊の原因がないか調べるのがよいでしょう。
女性の場合、子宮内膜症や子宮筋腫、排卵障害、生理不順など検査によって不妊の原因が分かれば治療が可能です。

男性の場合も、精子の量や運動率、奇形率などを調べることで自然妊娠が可能なのか知ることができます。

一方、不妊は原因不明のケースも少なくありません。夫婦の体の状態や年齢などを踏まえ、ステップアップをするのか、タイミング法を続けるのかを医師に相談するのがおすすめです。

STEP3.不妊外来などを受診する

ステップアップする場合は不妊外来などを受診しましょう。医療によって排卵の正確なタイミングなどを計測しながらタイミング法を行ったり、人工授精、体外受精などの提案を受けたります。

自治体によっては不妊治療に対する助成制度などもあるので、住まいの自治体でどのような助成が行われるのか調べてみるのがおすすめです。

妊活を始める前に風疹の抗体検査を受けよう

風疹ウイルスとは、風疹を引き起こすウイルスのことです。
子どもの頃に罹患している人や、予防接種をして抗体を持っている人も多いでしょう。
しかし、この抗体は誰もが必ず生涯保ち続ける訳ではありません。

妊娠しているママが風疹に罹ると、お腹の赤ちゃんに母子感染を引き起こしてしまい「先天性風疹症候群」という病気を引き起こすリスクがあります。
先天性風疹症候群にかかった赤ちゃんは、難聴や心疾患、白内障、緑内障、心身の発達に遅れが見られる頻度が多いと言われています。

ママが風疹に罹る時期によって赤ちゃんに感染する確率も大きく変化するのが特徴です。
妊娠4~6週にママが風疹に罹った場合、高確率で母子感染を起こすとも言われています。

中には、パパが風疹に罹りママへ移してしまい、さらに母子感染を起こすというケースもあります。
妊娠を希望した段階でパートナーと二人で風疹の抗体検査を行うのが理想的。
先天性風疹症候群は、予防接種で避けられる病気です。
これから授かる赤ちゃんを守るためにも、風疹の抗体検査を受けましょう。

まとめ

赤ちゃんを迎えるに当たって知っておきたい妊娠の仕組みや妊活について紹介してきました。
排卵、受精、着床の3つのプロセスを経て、はじめて赤ちゃんがママのお腹にやってくることが分かりましたね。

赤ちゃんを望むなら、これらの工程を踏まえて、適切なタイミングでの性交渉が欠かせません。
また、妊娠前から生活習慣の改善などに取り組むことで、妊娠や赤ちゃんの発育をサポートできることもあります。
2人で手を取り合って赤ちゃんをお迎えする準備をしてみて下さいね。

当院でも、ホルモンバランス検査、排卵日チェック、内服剤による排卵誘発の対応が可能ですので、ご相談にいらしてください。

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この記事の監修
エナみらいグループ総院長 宿田 孝弘
宿田 孝弘
エナみらいグループ総院長
札幌・石狩の産婦人科「エナレディースクリニック」の宿田です。母と子に優しいお産、女性が求める医療がエナにはあります。札幌・石狩市での出産や婦人科疾患のお悩みなど、お気軽にご相談ください。