お腹の赤ちゃんに音楽を聞かせたり絵本を読み聞かせたりする「胎教」。妊娠したママの中には胎教に興味のある人もいるのではないでしょうか。
しかし、胎教にはさまざまな考え方や方法があり「一体どうやれば良いの?」と悩んでしまうママも。
この記事では、胎教の意味や効果、始める時期、方法などを徹底解説。妊娠中に胎教を楽しむコツを紹介します。
胎教とは
胎教というと、胎児の頃から始める英才教育という印象を持っている人も多いでしょう。ひと昔前はそういった考え方もありましたが、現代の胎教は親子のコミュニケーションやママのリラックス効果を目的としたものが多いです。
今回は、「親子のコミュニケーション」「ママのリラックス効果」これらの役割を持つ胎教についてみていきましょう。
胎教の効果
胎教をすると、生まれてきた赤ちゃんの夜泣きが少ない、情緒の発達に影響する、お腹の中で聞いた音楽を生まれた赤ちゃんも覚えているなど、効果についてはさまざまな説があります。
しかし、これらの効果について科学的に証明されている訳ではなく「胎教をしたうちの子は夜泣きをしなかった」というママもいれば「胎教をしたけど、言葉が出るのが遅かった」なんてママも。
胎教の効果なのか、その子の個性なのかという点でも、「夜泣きをしなかった」ことや「発語が遅かった」ということに明確な理由を付けるのは難しいです。
そもそも胎児の脳機能や記憶力などの分野においては未知の部分も多く、胎教の効果も科学的な証拠が少ないため、未だ分からない事の方が多いと言えるでしょう。
こういった経緯から、現代では親子のコミュニケーションをとることで愛情を育むことや、穏やかな時間を過ごすことによってママのストレスを軽減することが胎教の主な効果という認識になっています。
胎教を始める時期
胎教を始める時期はいつでも良いです。妊娠が分かったと同時に始める人もいれば、胎動が始まってからという人も。お仕事をしているママなら、産休に入ってから始めたというケースも多いでしょう
いつ始めても良いですが、特に胎教を始める時期としておすすめなのは妊娠7ヵ月頃です。
赤ちゃんの聴覚器官は16~20週頃にかけて発達をはじめ、26週頃になると耳から捉えた振動を「音」として認識できるようになります。
妊娠7ヶ月頃には、胎動を感じるママが多くなるのもおすすめする理由のひとつ。胎教に赤ちゃんが反応してくれるとママのモチベーションも高まるでしょう。
ママやパパからのアクションだけでなく、胎動という赤ちゃんからの反応が見られるこの時期は、胎教を始めるのにうってつけです。
胎動について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
おすすめの胎教4つ
続いては、おすすめの胎教方法を紹介します。自分のやりたい方法で、気軽に楽しく胎教を始めてみましょう。
1.話しかける
聴覚が発達した赤ちゃんは、ママやパパの声を聞き分けることができると言われています。お腹の中へ優しく語りかけてあげると、ママやパパの声に胎動で返事をしてくれることも。
初めて妊娠したママの場合「赤ちゃんにどんな言葉をかけて良いのか分からない」と悩んでしまうこともありますが、難しく考える必要はありません。「元気~?」「今日は良い天気だったよ」など、気軽に話しかけてみて下さい。
話かけるのが難しいと感じるママは、絵本などを読み聞かせてみてはいかがでしょうか。もちろん赤ちゃんは話の内容を理解できません。
しかし、ママの声や読み聞かせている抑揚をしっかりと感じているものです。
また、赤ちゃんの名前を決めていなくてもニックネームをつけてあげると、さらに声をかけやすくなるでしょう。
リラックスして赤ちゃんに語りかけていると、副交感神経が優位になり体や心が休まる効果も期待できますよ。
2.お腹を撫でる
妊娠7ヶ月頃を過ぎた赤ちゃんは、子宮の中で大きく成長していきお腹の外からの刺激にも反応するようになってきます。
優しくお腹を撫でてあげると、撫でられていることに反応して胎動でアクションを起こすことも。
また、上のお子さんやパパにお腹を撫でてもらうのも胎教としておすすめです。
人は信頼している人と触れ合うことでオキシトシンというホルモンを分泌します。オキシトシンは通称「愛のホルモン」とも呼ばれ、不安や恐怖を和らげてくれる効果も。
上のお子さんやパパも気軽に胎教に参加でき、ママもリラックスタイムを得られるファミリーコミュニケーションの時間を過ごしましょう。
3.音楽を聴かせる
赤ちゃんは、外の世界の音にも耳を傾けています。私達は空気の振動を鼓膜でキャッチし、骨の振動で音を認識していますが、赤ちゃんは全く状況が違います。
ママの胎内で羊水に満たされている赤ちゃんは、空気の振動をキャッチできません。羊水のゆらぎで得た音の振動も、骨が柔らかく正確にキャッチできないため、実際の音とは全く違う聞こえ方をしていることでしょう。
胎教と聞くとクラシックのような芸術性の高い音楽をイメージする人が多いです。
しかし、私達とは全く違う聞こえ方をしている赤ちゃんにとって、音楽の内容を理解するのは難しいでしょう。
音楽のリズムや高音、低温などは聞こえているかもしれませんが、芸術性や教養などは赤ちゃんにとってまだまだ別の世界のお話です。
胎教として選ぶ音楽はJ-POPやロック、もちろんクラシックやジャズ、カントリーミュージックなど何でも構いません。ママの好きな音楽を聞かせてみて下さい。
胎内記憶について科学的に証明されている訳ではありませんが、生まれてからも胎教として聞いていた音楽を好んでいる赤ちゃんもいます。
是非、赤ちゃんが生まれてから同じ音楽を聞かせてみてはいかがでしょうか。
4.キックゲームをする
胎動が激しくなってきたら、キックゲームでコミュニケーションをとるのもおすすめ。これも立派な胎教のひとつです。
赤ちゃんが胎動をしてきたら、お腹をトンと優しく叩いて合図を送ってみましょう。刺激があった場所を狙って蹴ってくれることがあります。
赤ちゃんからのリアクションが返ってくるとコミュニケーションがもっと楽しくなってくることでしょう。
しかし、胎動があったからキックゲームを始めてみたものの、全く蹴り返してくれないことに不安を感じるママも少なくありません。
赤ちゃんは20分の覚醒と20分の睡眠を繰り返しています。そのため、ママが「胎動かな?」と思った衝撃も、たまたま手足が子宮の壁に当たっただけで赤ちゃんはまだ眠っているという場合も。
すぐに胎動が返ってこない時は少し様子を見てみると良いでしょう。
ただし、日常的に胎動を感じているのにピタっと胎動を感じなくなった、普段よりも胎動が弱弱しく感じる、妊娠8ヵ月以降で安静にしても1時間以上全く胎動を感じないという場合は要注意。
胎動の減少が赤ちゃんからのSOSである場合もあります。念のためにかかりつけ医へ連絡して指示を仰ぎましょう。
普段からキックゲームを行っていると、胎動の強さや回数・タイミングなどの変化を感じやすくなるという点でも、胎教におすすめだと言えますね。
胎教をするときに気を付けたいこと
胎教では、さまざまな方法で赤ちゃんとコミュニケーションをとります。しかし、中には胎教に取り組む際に気を付けておきたいことも。
楽しく胎教に取り組むために以下のようなポイントに気を付けましょう。
無理に続けない
妊娠中のママはホルモンバランスが乱れ、情緒が不安定になることも珍しくありません。
気分よく赤ちゃんとの会話を楽しんでいたのに、翌日は酷く落ち込んで胎教に取り組めないこともあるでしょう。
そんな時は無理に胎教を続けなくても大丈夫。胎教の目的は赤ちゃんとのコミュニケーションだけでなく、ママのリラックス効果を求めることでもあります。
胎教に取り組むこと自体がママのストレスになってしまっては、意味がありません。
また、初めて妊娠を迎えるママの中には赤ちゃんへの接し方が分からず声掛けや触れ合い自体に戸惑ってしまうこともあるでしょう。そんな時も、無理に胎教をしなくても大丈夫です。
「接し方が分からないけど、胎教はしてあげたい」と思うママは、音楽を聞かせてあげるだけでもよいでしょう。
ママにとっても無理の無い形で行えることが、最も理想的な胎教の形と言えますね。
静かな場所で行う
お腹の中の赤ちゃんには、私達が聞こえている音とは全く違う聞こえ方で伝わっています。さらに胎内ではママの心音や臓器の動く音など、さまざまな音が響いていることでしょう。
胎教として話しかけたり、音楽を聞かせたりする時には、静かな部屋で行うのがおすすめです。ママやパパの声、聴かせたい音楽などが赤ちゃんにも届きやすくなります。
寝る前の静かな寝室などで胎教を行うのもリラックスできて良いですね。
胎教Q&A
最後に胎教にまつわる疑問を紹介。胎教に関するママやパパの疑問にお答えしていきます。
胎教におすすめの音楽ってあるの?
胎教に使う音楽は何でも良いですが、特にママやパパに聞かせたい音楽が無いのであれば「1/fゆらぎ」を含むものがおすすめです。
1/fゆらぎとは不規則な中に規則性を持ったバランスが良い状態のこと。小川のせせらぎや、ロウソクの炎の揺らめきなど音や光、温度、振動などにも存在します。
1/fゆらぎは非常にリラックス効果が高いので、胎教にもぴったり。音楽の中にも1/fゆらぎを持つものがいくつかあり、中でもモーツァルトが作曲した音楽には1/fゆらぎを含む物が多いと有名です。
また、身近な歌手では美空ひばりさん、宇多田ヒカルさん、大野智さん(嵐)、藤原聡さん(Official髭男dism)などの声にも1/fゆらぎが含まれているそうです。ぜひ、胎教の音楽選びの参考にしてみて下さいね。
英才教育や〇〇式はダメなの?
教育の「教」の字が含まれている胎教。英才教育として取り組もうと思っていたママもいるかもしれません。
最近では、「〇〇式胎教」のように独自の理論を用いた教育システムとして胎教の方法を指導している団体などもいます。
胎動についての科学的根拠がない、というのはこれらの方法も否定はできないということ。
こうした英才教育的な胎教を行うことで、ママの気持ちが安定して健やかに妊娠期間を過ごせるのであれば、本記事で紹介している胎教の目的を果たしていることになります。
ただし、こういった教育的胎教の効果は万人に必ず現れると断言できるものではありません。
赤ちゃんは、プログラムした通りに動くロボットではないのです。その点を十分に考慮し、パパとも相談して取り組んでみて下さいね。
胎教は必ずしないといけないの?
胎教は必ずしも必要なものではありません。何故なら、ママが日常生活を送っている中でさまざまな音がお腹の中に届きます。生活の中に溢れる音や、ママが会話する声など、普通に生活している音を聞き、赤ちゃんは刺激を受けているのです。
胎教では赤ちゃんとコミュニケーションをとることで、ママやパパの絆が深まることや、赤ちゃんへ愛着を育むことに重きを置います。
しかし、「胎教=赤ちゃんへの愛情」という訳ではありません。
胎教をしないからといって、赤ちゃんが親からの愛情を感じられないなんてことはないし、ママやパパが赤ちゃんへの愛着を持てないなんてこともないでしょう。
胎教をしないからといって、赤ちゃんに影響はありません。心と体に余裕があり、赤ちゃんとコミュニケーションを取ってみたいなと思った時、気軽に取り組んでみてはいかがでしょうか。
パパがしても効果があるの?
お腹の赤ちゃんは妊娠5ヵ月頃には脳の発達が十分に進み、記憶を司る「海馬」という部分も出来上がります。そのため、胎児は頻繁に聞く声を記憶できるという説もあります。
日常的に聞いているママの声だけでなく、胎教に取り組んでいるパパの声も聞こえているはず。
パパが胎教に取り組むメリットは、赤ちゃんに声を覚えてもらうだけでなく、ママとの信頼関係を構築する意味でも高い効果が期待できます。
是非、パパとママ一緒に胎教に取り組んでみて下さい。
まとめ
お腹の赤ちゃんと過ごす約10ヵ月。より充実した妊娠生活を送れるよう胎教に取り組んでみてはいかがでしょうか。
ポイントはママに無理のない範囲で楽しみながら行うこと。おしゃべりや音楽、触れ合いなど今しかできない穏やかな時間を過ごしてみて下さい。