子育てをしていると自然と耳にすることが多くなる「イヤイヤ期」という言葉。子どもがイヤイヤ期を迎えると、癇癪を起こす子どもの対応に疲れ果ててしまうママやパパも少なくありません。
今回は、ママやパパを悩ませるイヤイヤ期について起こる理由や年齢別の特徴、対処方法、やってはダメな対応なども紹介。イヤイヤ期を迎えた子どもとの付き合い方に悩んでいるママやパパはぜひ参考にしてみてください。
イヤイヤ期とは
イヤイヤ期とは、子どもが成長する過程で自己主張が激しくなる2歳前後の時期を指します。ママやパパからの声掛けに対して自分の意にそぐわないと「イヤ!」と拒否するため、イヤイヤ期と呼ばれるようになったようです。
ママやパパにとっては大変な時期ですが、イヤイヤ期は子どもの発達に大切な時期。イヤイヤ期について理解し、子どもの成長を適切にサポートしてあげましょう。
イヤイヤ期が起こる理由とは?科学的に見てみよう
イヤイヤ期について、自己主張の一環であることは割と有名です。多くの人が「魔の2歳児」という言葉についても聞いたことがあるでしょう。
しかし、なぜイヤイヤ期が起こるのか根本的な理由を知っているパパやママは少ないのではないでしょうか。
大人にとってイヤイヤ期は「理不尽に拒否する子ども」に振り回されるものだと思いがち。しかし、それが理不尽ではないことが分かると、イヤイヤ期の見方が大きく変わってきます。
続いては、イヤイヤ期が起こる理由を脳科学的に考えてみましょう。
「我慢」を司る前頭前野は発達が遅い
人間の脳の中にある前頭前野は思考力や感情の制御、判断力などを司ります。人間が理性的に生きられるのは前頭前野の働きが大きいと言えるでしょう。
しかし、前頭前野は脳の中でも特に成長が遅く、6歳位までは成長がとても緩やかです。幼少期は成長が緩やかですが、8〜15歳頃に急速に成長するとも言われています。
小学校に上がった子どもが「しっかりしてきたね」と言われるのは、前頭前野の発達による部分もあるでしょう。
判断力や感情の制御ができるようになってくることから、乳幼児期と比べると大人と遜色なくコミュニケーションが取れるように成長していきます。
イヤイヤ期は脳の成長段階に起こること
赤ちゃんのイヤイヤ期は前頭前野が未発達なことで起こる欲求の爆発と言えます。
2歳前後の子どもは、前頭前野を用いた感情の制御や判断力が未発達であるため「我慢する」ということができません。
つまり、イヤイヤ期は脳の成長において、前頭前野が未発達であることと自我(欲求)の芽生えが衝突するために起こるものです。
子どもの癇癪が酷くなるとパパやママだってうんざりしてしまうもの。
そんな時は「まだ前頭前野が発達していないんだから、我慢ができなくて当たり前」「この子は自我をしっかり持っているんだな」と開き直ってみてはいかがでしょう。
大人の理性的な思考でイヤイヤ期を理解すると、癇癪を起こす子どもに余裕を持って接しやすくなるかもしれません。
イヤイヤ期はいつから始まる?
イヤイヤ期は子どもの成長過程で訪れる時期なので、始まる時期についても個人差があります。
一般的には1歳半頃から始まると言われていますが、早い子どもでは生後6ヵ月頃からイヤイヤ期の兆候が見えることも。
2歳にピークを迎える子どもが多いことから、「魔の2歳児」という言葉も有名です。
イヤイヤ期はいつまで続くの?
イヤイヤ期は多くの場合3歳頃に落ち着いてくることが多いようです。
これは、3歳頃に言葉が発達し「なぜ嫌なのか」「自分はどうしたいのか」など子どもが言葉を上手く使って感情を伝えられるようになるからだと考えられます。
自分の主張を言葉で伝えることができる時期が、イヤイヤ期の終わりが見え始める時期だと言えるでしょう。
イヤイヤ期が無い子もいる
イヤイヤ期について悩んでいるママやパパの中には、「うちの子はイヤイヤ期が無かったよ」という言葉に驚くこともあるでしょう。
イヤイヤ期が無かったという子どもは以下のような特徴を持っていることが多いようです。
- 言葉の発達が早い子
- 自己主張が強くない子
- 大人しい子
- 穏やかな性格の子
言葉で自分の欲求を大人に伝えられる子や、自己主張が少なくのんびりとした子は、我慢をしなければいけないシーンが多くありません。
そのため、癇癪を起こす頻度も少なく、ママやパパはイヤイヤ期が無かったと感じるのでしょう。
年齢別のイヤイヤ期の特徴
イヤイヤ期は年齢によって特徴が異なるため、成長段階に合わせて対応してあげることが大切です。
続いては、年齢別のイヤイヤ期の特徴を見ていきましょう。
0歳児
0歳のイヤイヤ期は、欲求不満が原因となるケースが多いです。
寝返りがうまくできない、触りたいものに手が届かない、離乳食をもっと食べたい(食べたくない)など、不快感により癇癪が起こりやすいと言われています。
0歳児の癇癪は自我ではなく一時的な興味への欲求が強いため、しばらく見守ってやったり他のものへと興味を移してあげたりすると自然とおさまることが多いようです。
1歳児
1歳児のイヤイヤ期では、徐々に自我が芽生え「これをやりたい」という欲求と実際にできることへのギャップに癇癪を起こしてしまうケースが多いようです。
自分のイメージ通りにできないことにストレスを感じてしまうため、積み木を上手に積めない、雨なのに散歩に行きたいなどの理由で癇癪を起こしてしまうことがあります。
この頃はまだ自我が完全に芽生えている訳ではなく、「何とかして欲しい」という欲求を持っている子も少なくありません。
ママやパパは、子どもの気持ちに寄り添って「一緒にやってみよう」とイメージ通りの行動ができるよう手助けしてみてください。
雨が降っているけど散歩に行きたい、など要求に応えることができない時には複数の代替え案を出して子どもに選ばせてあげるのもおすすめです。
「好きなアニメを見る」「違うお部屋で遊ぶ」「レインコートを着てお外に行く」など、自分で選びイメージ通りの行動ができたという納得感を与えてあげましょう。
2歳児
2歳児のイヤイヤ期は、自我と共にルールの存在が子どもの中で芽生え始めます。
子どもが自分の中でルールを作っているため、「積み木が上手く積めない」と癇癪を起こしているからといってパパやママが手伝ってしまうと「そうじゃない!」と更に癇癪が酷くなります。
どれだけ子どもが言っている通りにしたとしても「自分でイメージ通りに完成させなければいけない」というルールが邪魔をしてしまうのです。
癇癪を起こしている間に疲労や眠気が重なり、何に対して癇癪を起こしているのか分からなくなってしまうというケースも少なくないでしょう。感情の抑制ができないため、疲れ果てて眠ってしまうという子どもも多いです。
2歳児のイヤイヤ期で最も重要なのは見守ること。
自分自身で納得できるまで見守り、余計な手出しはせず安全に過ごせるようママやパパが傍についてあげましょう。
癇癪に疲れてくると、今度は不快な気持ちをどうにかして欲しく甘えてくることでしょう。
抱っこをするなどスキンシップをとって、すかさず違うことに興味を移してあげるのがおすすめです。
癇癪を起こすと疲れてしまうので、そのままお昼寝をするのも良いですね。
3歳児
3歳児のイヤイヤ期は自己主張によるものが多く、内容よりも「自分の要求が通ったかどうか」を重視する子どもが多い傾向にあります。
自分の気持ちを上手く言葉にできないストレスを何とか伝えようと、手が出てしまうこともあるでしょう。
「叩いたらダメだよ」と、ダメなことを言葉で教え、欲求を言葉にできるアシストを行うのが良いですね。
しかし、「どうしたいの?」と聞いても上手く欲求を伝えられないことが多いです。「これがいいの?それともこっち?」と複数の選択肢を与えると、子どもも欲求を伝えやすくなります。
また、お店のおもちゃ売り場やお菓子売り場で駄々をこねるのもこの時期に多いイヤイヤ期の行動です。周りの視線も気になりパパやママは、いたたまれない気持ちになることも多いでしょう。
欲求に応えらえない場合は、時間をかけて説得するよりも「今は希望通りにできないこと」を明確に伝えて、抱き上げて場所を移動するなど環境を変えてあげる方が良いかもしれません。
この頃には「要望が通らないことがある」ということも徐々に子どもは理解しはじめます。
できること、できないことを分かりやすく伝えてあげることで納得できなくても子どもの中で「この場合は要求が通る(または通らない)」という経験が積み重ねられていきます。
男の子と女の子でイヤイヤ期に違いはある?
イヤイヤ期は性別による違いは無いと考えて良いでしょう。子どもの個性や成長の程度によっての違いはあるものの、「男の子だからイヤイヤ期がある」「女の子だからイヤイヤ期がない」のような違いはありません。
ただし、比較的女の子の方が言葉や情緒の発達が早い傾向にあるため、会話のコミュニケーションがスムーズに行われ「イヤイヤ期がない」と感じるパパやママが多いかもしれません。
男の子でも言葉が早い子がいるように、女の子でも成長がゆっくりな子もいます。
子どもの個性による部分が最も大きいと考えられるため、イヤイヤ期と性別による違いを関係付けることはできないでしょう。
イヤイヤ期にやってはダメな対応とは
イヤイヤ期の子どもへの対応には、多くのママやパパが頭を抱えることでしょう。さまざまな面で大変な時期ですが、子どもが成長する上で避けては通れない道です。
子どもの発達をサポートするのと共に、注意したい対応もあります。以下のような対応はなるべく避けた方が良いでしょう。
叱り過ぎる
イヤイヤ期は自己肯定感を育む時期とも言われています。「要望を聞いてもらえた」という経験が、自己肯定感を強めるとも言われているため、強い言葉や態度で叱り過ぎないように注意してあげたいところ。
しかし、内容によっては安全を維持できなかったり、周囲に迷惑をかけてしまったりするため、要求に応えられないこともあるでしょう。
叱らなければいけない場合には、冷静にシンプルな言葉を選ぶように心掛けるのがおすすめです。
癇癪を起こしている子どもに「どうしてそんなことするの」と理由を求めても、パパやママが期待するような言葉や態度は返ってこないでしょう。「それはダメ」「今はできない」など事実だけを伝えることが大切です。
突き放すような行動
イヤイヤ期の子どもはまだまだ心も体も赤ちゃんです。甘えたい気持ちから癇癪を起こしていたり、信頼するママやパパにイライラする気持ちを何とかして欲しいと思っていることもあります。
ママやパパもイライラしてくると「このまま強く叱ってしまう位なら少し距離を置こう」と考えることもあるでしょう。
しかし、物理的に距離を置く方法は、子どもの助けを求める感情を置き去りにしてしまいます。
イライラしている中、無理に子どもを抱きしめたり声をかけたりしなくても大丈夫。
ママやパパが手を伸ばせば届く距離に居てくれること、抱きしめれば抱きしめ返してくれることが子どもに安心感を与えます。
大人の理性的な心でイヤイヤ期に付き合ってあげましょう。
その分、ママやパパが交代でリフレッシュする時間を取ったり、他の人の手を借りて子どもと少し離れる時間を取ったりすることも大切です。ママやパパの負担を軽減させ気持ちに余裕を持てるような工夫をしてみてください。
イヤイヤ期が終わりそう?よくある兆候3つ
イヤイヤ期がはじまると大変な毎日に「一生このままなのでは」と不安を覚えるママやパパも少なくありません。
しかし、イヤイヤ期は一過性のもの。必ずどこかで終わりが来ます。
最後に、イヤイヤ期が終わりそうな子どもによく見られる兆候について解説します。
これらの兆候が見られたらイヤイヤ期の終わりまであと少しかもしれません。
気持ちを切り替えられるようになってきた
積み木を上手く積めなくて癇癪を起していると思ったら、絵本を持ってきて静かに本を読みだすなど、自分で興味の対象を変えられるようになってきたらイヤイヤ期の終わりも間近かもしれません。
中には自分で感情をコントロールしようとしているけれど上手くいかず、癇癪の最中に全く違った要求をしてくる子もいます。
「外に行きたい!」と泣いていたのに、急に「テレビを見たい!」と言い出す場合、今は外にいけないことを理解し他のもので欲求を満たそうと自発的に考え付いたということ。
実際にテレビをつけてあげても癇癪を引きずるかもしれませんが、「偉かったね。我慢したんだね」と自発的に我慢しようとしたことを褒めて、寄り添ってあげましょう。
自分の気持ちを言葉で伝えられるようになってきた
一般的に2歳前後で2語文を、3歳前後で3語文を話す子が多いようです。
詳しく言葉を話せるようになるほど、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになります。
今まで「イヤ」だけだった受け答えが、「なぜイヤなのか」応えられるようになると子どもの欲求を理解し、満たしやすくなるでしょう。
ただし、言葉によるコミュニケーション能力が発達してきても、癇癪を起こしている間はなかなか冷静な受け答えはできません。
焦らずゆっくりと、子どもの気持ちを聞き出してあげることに徹してあげてください。
ルールを守る意識が芽生えてきた
「赤信号は渡ってはいけない」「お友だちを叩いてはいけない」など日常生活の中にあるルールを理解し、守る意識が芽生えてくるとイヤイヤ期の終わりまでもう少しです。
ルールを守るというのは理性的な行動の第一歩。「しても良いこと」「してはいけないこと」を子どもなりに理解しはじめています。
家庭内でも子どもに分かりやすいルールを作り、前頭前野の発達を促してあげると良いでしょう。
まとめ
かわいい我が子がある日とつぜんイヤイヤ怪獣になってしまう、そんな苦悩を持つママやパパは多いです。
子どもの成長に必要なこと、大人が理性的に寄り添ってあげるべきと頭で分かっていても、心がついていかないこともあるでしょう。
ママやパパが冷静になれるよう休息を取れることが最も望ましいですが、共働きや近くに頼れる人が居ない場合など、リフレッシュが難しいことも少なくありません。
そんな時は、同じ年頃の子どもをもつパパやママとの交流をしてみてはいかがでしょう。
悩みや苦労に共感してもらえたり、他の家庭の子どもも同じようにイヤイヤ期を過ごしていたりするのを知ると、少し心が軽くなるかもしれませんよ。
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