育児のお悩みで多い赤ちゃんの「夜泣き」ですが、いつまで続くのか?と不安に思う方も多いでしょう。また、何をやっても解決しないこともあり、どうすればいいのかと疲れてしまう方もいます。
この記事では、赤ちゃんの夜泣きについて、原因や時期別の夜泣きの特徴、対策、夜泣きへの向き合い方について解説します。
夜泣きって?
赤ちゃんは自分の言葉で欲求やしたいことを伝えられないため、「泣く」ことでさまざまな感情を訴えようとします。
赤ちゃんの「夜泣き」は夜に泣き始めると、なかなか泣き止まずにずっと泣き続けることをいいます。快・不快の表現だけでなく、甘えたい、お腹がすいたなどいろいろな気持ちを泣いて訴えるのです。
おっぱいをあげても抱っこをしても泣き止まず原因のわからない泣きを「夜泣き」といいます。
いつから夜泣きする?
赤ちゃんの夜泣きはいつから始まるのでしょうか。新生児の間もよく泣いていると思いますが、新生児の間の泣きは夜泣きではありません。
夜泣きは一般的に生後5〜6ヶ月ごろから始まると言われていますが、1歳前後で始まることもあり、個人差が大きいです。
また、必ず夜泣きをするわけではありませんので、夜泣きをしない赤ちゃんもいます。
夜泣きはいつまで続く?
夜泣きが続くと、大人はどうしたらいいのかと疲れてしまいますよね。夜泣きは個人差が大きく、数ヶ月続く場合もあれば、数日で終わる場合もあります。
夜泣きの原因は?
夜泣きの原因は以下の3つが主な原因と考えられています。
- 生活リズムが未熟
- 日中の刺激が強い
- 体調不良
ただ、はっきりしない部分もあります。
生活(睡眠)リズムが未熟
私たち大人は、睡眠のリズムがある程度確立されているため、日中は起きて夜間は睡眠をとる、というリズムになっています。
しかし、赤ちゃんはまだこの睡眠リズムの確立ができていません。生まれてすぐの新生児期は2〜3時間おきに起きておっぱいやミルクを飲んでいますが、成長とともに徐々に昼夜の区別がつくようになるのです。
そして月齢があがるにつれて日中は起きて夜間に長く眠るようになっていきます。
ただ、赤ちゃんは睡眠リズムがまだ未熟なので、夜間にしっかりと眠ることができず、途中で覚醒してしまうことがあります。そのときに夜泣きが起こりやすいのです。
日中の刺激が強い
赤ちゃんは普段の生活でさまざまな刺激があります。風や光、音、話し声などさまざまな刺激を受けて多くの情報や刺激を脳で処理しています。
日中たくさんの刺激を受けると夜間に脳が処理しきれなくなるため、夜泣きにつながることがあると考えられています。
体調不良
夜泣きの原因は体調不良の場合もあります。赤ちゃんは生まれたときにママの体や母乳から免疫をもらいますが、生後半年ほどでもらった免疫がきれてしまい、病気にかかりやすくなります。
赤ちゃんはまだしんどいことや体調不良を自分の言葉で伝えることができないので、体調不良を泣くことで表現することがあります。
「いつもの夜泣きかな」と思ったら体調不良だったということもあるので、体調不良のサインはないか確認しましょう。
はっきりしないこともある
体調不良でもないし、日中の刺激が多かったわけでもない、思い当たることがないということもあるでしょう。夜泣きの原因がはっきりしないこともよくあります。赤ちゃんの夜泣きの原因は未だにはっきりとわからないことも多くあるのです。
夜泣きの対策は?
夜泣きの原因はわからなくても、できるだけ夜泣きをしないように対策できるのであれば、対策しておきたいですよね。
ここからは夜泣きをできるかぎりしないために、対策方法をご紹介します。
環境を整える
部屋の温度や湿度が快適になるように保ちましょう。エアコンや暖房などを使用して、部屋の温度を調整するだけでなく、加湿器を使用して湿度も調整します。
また、季節に合わせて下着を調整したり、薄着や厚着にしたりするなど、衣類での調整も大切です。特に寝る時に暑すぎると不快感から夜泣きにつながることがあります。
衣類が濡れている場合や、赤ちゃんが汗をかいているときは着替えをしましょう。
睡眠のルーティンをつくる
寝る前に同じことをする、ルーティンを決めてしまうと、これをしたから寝る時間と子どもが認識しやすくなります。入眠儀式とも言いますが、
- 絵本を読む
- 歌を聞かせる
- お話をする
などなんでもかまいません。できそうなものから始めてみましょう。
生活リズムを整える
赤ちゃんは睡眠のリズムがまだ未熟なため、昼夜の区別がつきません。そのため、朝起きたらカーテンを開けて光を浴びる、夜になると部屋を暗くして眠る準備をする、といったように生活リズムを作れるようにサポートしましょう。
そのためには大人の早寝早起きも大切です。できるだけ子どもの生活リズムが整うよう、協力しましょう。日中に昼寝をする赤ちゃんも多いですが、昼寝をしすぎると、夜眠れなくなることがあるので、昼寝はほどほどにしましょう。
また、昼に散歩に行く、外遊びをするなど、しっかり体を動かすと夜間疲れて眠りやすくなります。できれば睡眠だけでなく、お風呂や食事の時間も一定にするとより生活リズムが整い、夜泣きへ効果的です。
抱っこをして触れ合うようにする
授乳はママとの触れ合いの時間でもあるため、赤ちゃんに安心感を与えられます。授乳やミルク直後の場合は抱っこを求めていることもあります。しばらく抱っこしてゆらゆらしていると自然に寝入ることもあるので、しっかり授乳やミルクでお腹を満たしてから、抱っこをしてみてください。
母乳で寝るクセをつけない
授乳をしている場合、おっぱいを吸うことで寝るという習慣になっていることがあります。赤ちゃんの中で「寝るときにおっぱいを吸う」となっていると、おっぱいを吸わないとなかなか寝られないことになります。どうしても寝てくれない場合に授乳してそのまま寝ることもあるかもしれませんが、毎回母乳で寝るという習慣は作らない方がよいかもしれません。
赤ちゃんの月齢による睡眠リズムの特徴
赤ちゃんの夜泣きは成長段階と関連があります。ここからは赤ちゃんの月齢と睡眠リズムの特徴について解説します。
生後1ヶ月ごろ
生まれてすぐの新生児期はママのお腹の中にいた時と大きく睡眠リズムが変わっておらず、昼夜の区別もついていません。体内時計が整っていないため、昼夜を問わず泣くことが多いです。
また、お腹がすく、おむつが濡れるなど、少しの刺激で泣いたり、起きてしまったります。新生児の間は夜にまとまって寝ないことがほとんどなので、赤ちゃんが夜寝てくれないことを「夜泣き」と心配する必要はありません。
生後2ヶ月〜4ヶ月ごろ
徐々に赤ちゃんも成長し、授乳やミルクを飲むことで満足し、夜間の授乳やミルクの回数が減るようになります。徐々に体内時計も整い始めますが、まだまだ未熟なため、夜に起きてしまったり、泣いてしまったりということはあります。
生後5〜6ヶ月ごろ
この時期になると、離乳食も始まり、感情表現も豊かになり、赤ちゃんが日々急成長していきます。
体の発達だけでなく脳も急成長しているので、日中にたくさんの刺激を受けると、夜間寝ている間に脳で処理されます。処理速度が追いつかないと、目が覚めてしまったり、夢を見てしまったりすることがあるのです。
夜にまとまって寝られるようになると、人間の睡眠は浅い睡眠と深い睡眠が繰り返されていますが、浅い睡眠の間に眠りが中断されることがあります。この睡眠の中断が赤ちゃんの「夜泣き」につながるのです。
1歳ごろ
1歳ごろになると、まとまって寝られるようになる赤ちゃんが増えますが、個人差があります。
また、睡眠のサイクルは大人と比べると短いため、途中で起きてしまうこともあるのです。赤ちゃんは日々成長していますが、夢と現実の区別がつかず、夜泣きにつながることもあります。
夜泣きを放置してもいい?
夜泣きが続くと、大人もしんどくなってしまいますよね。ストレスから少し放置したいなと思ってしまうこともあるかもしれませんが、夜泣きをしている間、赤ちゃんをずっと放置することはやめましょう。
体調不良のサインを見逃す
赤ちゃんは泣くことで、ママやパパへ自分の思いや不快なことを伝えようとします。体調不良でしんどいためにグズグズ泣いていることもあるのです。
なかなか寝てくれない、原因がはっきりしない場合は、普段よりぐったりしている様子はないか、体温が高いなど変化がないか、呼吸が荒く回数が増えていないかを確認しましょう。
そして普段と違いがあり、夜泣きだけでなく、母乳やミルクの飲みが悪い、離乳食をあまり食べないなど、体調不良を疑う場合は、病院を受診してください。
体調不良のサインがないのであれば、他の原因がないかを確認しましょう。
赤ちゃんとの信頼関係が崩れる
赤ちゃんと家族の信頼関係は生まれてすぐに築かれるものではありません。日々のお世話やスキンシップを通して少しずつ構築されていくのです。
そのため、赤ちゃんが泣いて何かを訴えている時に、大人が無反応だと、「何かを伝えようとしても無駄なんだ」「愛されていないのかな」と赤ちゃんは不安になってしまいます。
泣かない赤ちゃんは一見して子育てがしやすいと思う方もいるかもしれませんが、そうなると、サイレントベビーといった大人しそうに見えても反応が乏しい、笑顔が少ない子どもになってしまうこともあるのです。
ただ、他にすることがあるときなど、ずっと泣き続けられると大人もつらくなることもあるでしょう。すぐに対応することが難しい場合は、「ちょっと待ってね」と声をかけながら対応しましょう。
どうしても疲れが溜まっていて、優しく接することが難しい場合は、パパや他の家族などに協力を得ながら少し休むようにしてください。
夜泣きへの対処方法は?
では実際に赤ちゃんが夜泣きをした場合、どのようにすればいいのでしょうか。対処方法について解説します。
そばにいる
夜泣きの原因でもお伝えしたとおり、赤ちゃんは日中に刺激をたくさん受けることや、睡眠障害により起きてしまうことがあります。
こわい夢を見て起きてしまったときに、近くに誰もいないと不安で泣き続け、夜泣きにつながることもあるため、赤ちゃんが泣き始めたらできるだけそばにいましょう。
そして、泣き始めたらすぐに抱き上げずにしばらく横に付き添い、トントンと背中を優しく叩いてください。泣き始めにはっきりと起きていない場合、抱っこすることで目を覚ましてしまい、泣きが激しくなることがあります。
しばらくあやすと落ち着き、また眠りにつくこともあるので、5分程度そばで安全を確認しながらあやしてください。
赤ちゃんの欲求を満たす
お腹がすいている、おむつが濡れて気持ち悪い、衣類が汗で濡れているなど、赤ちゃんの泣きに明確な理由がある場合は、まずその欲求を満たしましょう。
おむつを替える、着替える、授乳やミルクをあげることで、泣き止むこともあります。まずは赤ちゃんが何か訴えていることはないか?を確認してくださいね。
夜泣きにどう向き合う?
夜泣きへの対策をして、夜泣きの対処方法をいろいろ試しても、どうしても泣き続けることもあるでしょう。夜泣きにどのように向き合うといいのでしょうか。
ストレスをためない
まず大切なことはストレスをためないことです。赤ちゃんが泣き続けると大人もストレスがたまり、イライラしてしまうこともあります。眠れなくてしんどいのは赤ちゃんだけでなく大人も一緒です。
寝不足はイライラにつながりやすく、感情のコントロールができなくなることもあります。また、大人のイライラが赤ちゃんに伝わるとより泣きが激しくなることもありますので、できるだけストレスをためないようにしましょう。
そのために大切なことは
- パートナーと協力する
- 寝られるときに寝る
- 気分転換に散歩やドライブをする
などが挙げられます。
パートナーと協力する
育児は1人ですると限界になってしまうことがあります。そのためにパートナーの協力は必要不可欠です。
交代であやす、夜泣きの間はママがお世話をして日中は休めるようにパパが家事や日中の育児をする、など役割分担をしてもいいでしょう。
ママだけの負担にならないよう、パートナーや家族に協力してもらいましょう。
寝られるときに寝る
どれだけ対策をしても、さまざまな対処方法をとっても何をしても寝てくれないということもあります。その場合、夜間に無理に寝ようとせず、日中の子どもが寝ている間に一緒に寝るようにしましょう。
夜間眠れなくても、日中に寝るだけで少し体が楽になるので、夜にこだわらず寝られるタイミングで寝て体を休めるようにしてください。
気分転換に散歩やドライブをする
ずっと部屋の中にこもっていると、気持ちもふさぎがちになってしまいます。何をしても泣き止まない場合は、散歩やドライブをすることもおすすめです。
大人の気分転換になるだけでなく、赤ちゃんも夜風に当たることで気分転換になりますし、車の揺れで自然に眠気を誘うこともあります。
寝不足で運転は危険なので、ドライブする場合は、安全に運転できる状態でしてくださいね。
近所へあいさつする
夜泣きが続くと「近所迷惑なのではないか」「虐待を疑われないか」と不安になる方もいるでしょう。あらかじめ近所の方へあいさつをしておくと、心配しすぎることがなくなりますので、近所の方へあらかじめ伝えておくといいでしょう。
地域の保健師や助産師へ相談する
夜泣きが続くと、ママもストレスや不安から気分が落ち込んでしまったり、泣けてきてしまったりということもあるでしょう。
家族の協力を得ながらでもどうしても難しい場合は、地域の保健師や助産師へ相談する方法もあります。地域のサービスで利用できる一時保育やヘルパーサービスなど、公的サービスを利用することで、気分転換したり、夜泣きの対処方法を相談したりできますよ。
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まとめ
赤ちゃんの夜泣きは悩む方が多く、夜泣きの原因も月齢や成長によって異なりますし、個人差も大きいです。対処方法をいろいろ試してみても夜泣きが改善しないこともありますが、ママやパパの育児方法が間違っているということは決してありません。ご自身を責めないように、うまくストレス発散をしてください。
また、夜泣きは赤ちゃんの大事な成長過程で、いつか必ず終わりがきます。1人で悩まずまわりの人と協力し、サポートしてもらいながら乗り切りましょう。
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