ご事情により妊娠を継続しない場合は、妊娠11週未満の方を対象に日帰り手術で対応しております。リスクと痛みを可能な限り少なくし、安全性の高い、身体にも心にもやさしい人工妊娠中絶手術を行っております。
ご不安なこと、妊娠を続けるか迷っている方、ご事情がある方もご相談にのりますのでお早めに一度受診にいらしてください。
中絶手術が受けられる時期
当院では、妊娠11週未満の方を対象に、日帰りでの中絶手術を行っております。
11週以降の方は、中期中絶を行っている医療機関に紹介させていただきます。
妊娠したかもしれないと思ったら、まずは実際に妊娠しているのか、その妊娠が正常であるかどうかをできるだけ早く確認する必要があります。母体保護法により、人工妊娠中絶ができる時間的リミット(妊娠22週未満)が定められているため、妊娠の継続を迷われている方はできるだけ早めにご相談にいらしてください。
妊娠判定について
「予定の生理日に生理が来ない」「いつもは大体予定通りに来るのに3〜4日遅れている」
その様な場合、まずは妊娠検査薬をご自身で購入して妊娠の判定をします。気になる性交渉から3週間で妊娠の判定はできます。もしも妊娠検査薬で「陽性」が出た場合、それは間違いなく妊娠が成立しています。もしもその妊娠判定がよくわからないという場合は産婦人科を受診して妊娠判定します。
「陽性」であればまずはパートナーと妊娠の継続について、つまりこの妊娠を継続出来るのか出来ないのかを相談しましょう。
妊娠週数の確定
妊娠週数は、「最終生理」「胎嚢の大きさ」「胎児の大きさ」から算出されます。
妊娠検査薬で陽性だった場合、次にすることは、婦人科に行き、内診台で経腟的超音波検査を受け、子宮内に胎嚢(胎児が入っている袋)を確認することです。妊娠週数と子宮外妊娠ではないことを確認する必要があります。子宮外妊娠ですと当院では手術を受けることができかねます。
中絶手術の費用
お支払いは現金またはクレジットカードになります。
術前検査費用
今回の妊娠中絶に関しての初診時にかかる費用です。超音波検査、クラミジア淋菌検査、採血(HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・貧血・肝機能・血糖・血液型)などの各検査が含まれております。
術前検査費用 | 20,000円前後 |
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手術費用
手術をする日の週数によって費用が変わります。
妊娠8週まで | 104,500円(税込) |
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妊娠11週まで | 126,500円(税込) |
術後診察費用
通常、術後1週間〜2週間で受診をお願いしております。
術後診察費用 | 3,000円~ |
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中絶手術の流れ
Web予約またはお電話で診察のご予約をお願いいたします。
原則予約での受診をお願いしておりますが、どうしても予約が出来ないなどの状況がありましたら予約なしでの受診も受け入れます。その際は受付窓口でお伝えください。
受付までお越しください。その後、問診と診察に進みます。
問診
まずは中絶意思の確認をさせていただきます。最終生理、過去の妊娠歴(出産の有無/流産の有無/中絶の有無)、合併症の有無、アレルギーの有無などを確認します。
内診台での診察
超音波検査にて妊娠の確認と胎児の大きさから妊娠週数の確認をします。あわせて性感染症(クラミジア・淋菌)検査も実施します。状況によっては子宮頸部細胞診(子宮頸がん検診)も行います。
手術日程の決定
当院ではほぼ毎日手術を行っておりますが、件数が重なると難しい場合もありますので、予めご都合のよい日を複数考えておいてください。
術前検査
採血にて、HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎・貧血・肝機能・血糖・血液型を検査します。
手術当日の流れをご説明
手術の前処理や費用などをしっかり丁寧にご説明いたします。また、中絶手術には同意書が必要になります。同意書をお渡しするので、当日お持ちいただきます。
手術当日は朝9:00~9:30頃までの来院をお願いしています。遠方の方やご都合などで難しい方は受診時にご相談ください。
事前会計
手術費用のお支払いは来院時にお願いいたします。
中絶意思の最終確認
手術同意書の確認
同意書がないと手術はできかねますので、忘れないようにお願いいたします。
手術前処置
手術をスムーズに進めるために、棒状の医療器具を子宮頸管に挿し、広げる処置を行います。
お部屋に移動・休息
子宮頸管を拡張するのに2〜3時間お部屋でお休みいただきます。お部屋は完全個室となっておりますので、他の患者様と一緒になることはございません。
点滴ルート確保
手術時に静脈麻酔をするため、術前に点滴を取ってしっかりとルート確保をします。引き続き手術までお部屋で安静にします。
手術室に移動
手術室に移動し、心電計・血圧・酸素飽和度を計測する装置を装着
静脈麻酔開始
点滴ルートから麻酔用のお薬を注入します。麻酔の効果が出始めると意識が無くなり眠っている状態になります。
手術
静脈麻酔の効果を確認後、手術を開始します。手術時間は約5分から10分程です。
帰室・休息
手術終了後、お部屋に移動し、ゆっくりとお休みいただきます。
帰宅
術後2時間ほどしたら、診察をして出血の様子などを確認します。問題がなければお帰りいただけます。
術後1週間から2週間の間に受診していただきます。術後の体調・出血状況の確認、超音波で子宮内の様子を診察します。状況によっては尿検査を行います。
手術を受ける際の注意点
- 手術当日は朝から食べたり飲んだりはできません。前日の夜9時以降は食事を摂らないようにしましょう。水分は寝る前まで摂ってかまいません。
- 当日は、お化粧はしないで来院してください。また、マニキュアなど落としてきてください。
- 麻酔を使用しますので、ご自分で車や自転車を運転してくるのは避けてください。
手術の前処置について
前処置は手術をスムーズに進めるために必要な処置です。中絶手術の重要なポイントしては「子宮頸管の拡張」にあります。
どうしても子宮内に到達するために子宮頸管を通過しなければなりません。この子宮頸管は出産歴のある方であれば産道として赤ちゃんが通過していますのである程度拡がっています。しかし出産歴の無い方であれば比較的しっかりと閉じています。出産歴のある方でも出産から年数が経過していればそれなりに閉じています。
その子宮頸管の拡張のために「ラミナリア」「ラミセル」「ダイラパン」「ダイラパンソフト」などの棒状の医療器具を頸管内に挿入して2〜3時間おきます。そうすることによって、それらが水分を吸収して膨張することにより、結果的にゆっくりと子宮頸管の拡張になります。
これは手術の開始とともに麻酔がかかったら抜去します。人によってはこの前処置は少しの痛みを伴う場合がありますが、極力痛みのない処置を心がけております。
手術の麻酔について
当院の麻酔方法は「静脈麻酔」と状況に応じて「子宮頸管ブロック」を併用します。通常は静脈麻酔のみでスムーズに手術を行えます。静脈麻酔とは点滴のルートから麻酔薬を静注します。「ミダゾラム」+「チアミラールナトリウム」あるいは「ジアゼパム」+「ケタラール」の静注にて麻酔をします。鎮痛作用が弱い場合は「キシロカイン」を子宮頸管周囲の粘膜下に注入をします。
麻酔の効果が出始めますと意識が無くなり眠っている状態になりその間に手術を実施します。静脈麻酔の作用時間はとても短時間ですので長時間に渡って影響することはありません。
中絶手術の方法
静脈麻酔の効果を確認後 子宮頸管の12時方向をマルチン鉗子で把持します。次に頸管拡張に使ったラミナリアなどを静かに抜き取ります。そして十分に子宮頸管が拡張されていることを確認し、もしも十分な拡張が無い場合はヘガールという頸管拡張器具によって拡張を追加します。
その後胎盤鉗子で子宮内容へ通ずることを確認した後に、電動または手動の吸引器によって子宮内容を吸引します。
手術時間は約5分から10分です。週数によって手術時間は多少違いが出ます。
通常、超音波ガイドの元に子宮の中に損傷をおこなさないように慎重に手術を進めます。
吸引法のメリット
掻爬(ソウハ)法と呼ばれる方法もございますが、当院では原則吸引法を採用しております。WHOが安全性を認めて推進している手法になり、お身体に優しい手術が可能です。吸引法は以下のような利点がございます。
- 手術時間が短い
- 子宮へのダメージが少ないので術後の痛みがほとんどない
- 出血量が少ない
- 翌日の仕事など、日常生活に差し支えがない
- 医師の技術力による差が出にくく、安定的に安全性を保てる
中絶手術後の出血について
手術によって子宮内の胎嚢や絨毛さらに脱落膜などが全て取り除かれるわけではありません。多少なりとも子宮内に遺残が生じます。
遺残を完璧に無くそうと必死に子宮内を掻いたり隅々まで吸引をすることによって、逆に子宮の筋層に傷をつけることになりかねないので、ある程度遺残があるのが良い状態です。人工的に流産を引き起こした状況になるので、手術後は自然に子宮の収縮に伴って子宮内の残りが自然排出されます。
ですので、手術後1週間から2週間は出血が続き、時に少しの痛みとともに血液の塊が出ることもあります。手術後数日全く出血が無いという場合もあります。それは拡張された子宮頸管が閉じてしまい、子宮の中に溜まった血液が排出されない状況になっているためで、ある程度溜まると一気に出血となります。
中絶手術後の生活について
手術直後から麻酔が覚めるに従って痛みが生じます。その場合あまり我慢せずに処方されている鎮痛剤を内服してください。
手術後24時間は決して無理をせずになるべく安静にすることをおすすめします。安静と言っても寝たきりになってくださいと言うことではなく、デスクワーク等の軽い労働であれば翌日から問題なく行なえますが、下記の点に注意しましょう。
- スポーツやイベントなどの参加は控える
- 長時間の仕事などは避ける
- アルコールは子宮内の炎症を助長する可能性があるので、できたら術後2~3日は控える
- 性交渉は出血のある期間はコンドームを着けたとしても避ける
- 翌日以降、体調を見ながらシャワー浴は可能だが、浴槽は術後健診が終わるまでは控える
手術後の一番心配なことは「子宮内の感染」です。子宮は膣から外陰部と外部に通じています。通常は膣内の感染防御システムが働いて容易に子宮内への感染が生じません。しかし手術直後は通常では無い状況のために、比較的容易に感染が起こりやすい状態です。
もちろん術後に抗生物質の内服があるのでその感染を未然に防いでいますが、性交渉などはその感染防御を破る可能性がありますので、できる限り出血のある期間は性的な行為は避ける事をおすすめします。
万が一手術後数日で発熱や異常な下腹部の痛みなどが生じる場合は決して我慢せずに連絡をください。
手術後診察
術後1週間から2週間の間に受診していただきます。状況に問題なければ術後診察はこの1回で終了ですが、多少の心配があればもう一度受診をお願いすることがあります。
診察内容
- 術後の体調確認
- 術後の出血状況の確認
- 超音波で子宮内の様子を診察
- 尿検査(状況によって)
重要なのはしっかりと妊娠が終了することが見込めることです。尿中には妊娠によるHCGというホルモンが分泌されますが、術後すぐに消失する訳ではありません。中絶を実施した週数にもよりますが2〜3週間かけて消えていきます。それらを確認することが次回の妊娠への影響を限りなく少なくします。
今後の避妊相談
重要な点は「今後人工妊娠中絶手術を繰り返さない」ということです。
私たちが日々外来の診察をしている中で、この中絶手術を繰り返される方がいらっしゃいます。手術を繰り返したからと言って将来妊娠が出来なくなるという訳ではありませんが、やはり何度も繰り返すことによって、経済的にも子宮自体へも決して良い影響を与えません。将来の妊娠出産へも同じことが言えて、中絶を繰り返すことによって前置胎盤などの深刻な合併症を起こしやすくなります。
ですから一度妊娠中絶の手術を受けられた方は、ご自身の身体を守るためにもしっかりとした避妊の知識とその実行が必要になります。
今妊娠を望まない場合は、ひとりひとりに合った適切な避妊方法をご案内いたしますので、受診時にご相談ください。
中絶手術同意書について
どのような医療行為でも必ず本人の同意が必要です。中絶手術の場合は、本人のみならず、その妊娠の父親となるパートナーの同意も必要になります。この事は母体保護法によっても定められていますので、同意の無い中絶手術は法律に抵触します。
同意書は、初診時に手術の日程などを決めたのちにご本人にお渡しします。手術当日に本人とパートナーの署名捺印された同意書を持参して頂きます。
万が一手術当日に同意書を忘れてきた場合、中絶手術は延期となります。中絶手術同意書はとても重要なものですので、ご理解お願いします。
パートナーがいない場合
時には、パートナーと連絡が取れない場合や、あるいは妊娠のパートナーが分からない場合など、やむを得ないご事情があるかと思います。例えば、妊娠を告げたらその後連絡が取れなくなった、あるいは性風俗産業で仕事していてその仕事の最中に妊娠した。つまりお客さんとの間の妊娠です。このような場合、妊娠のパートナーを特定する事は現実的に困難です。
そのような場合は、主治医に状況を詳細に伝えてその内容をしっかりとカルテに記載してもらいます。合理的に考えてパートナーの署名が困難と判断し、なおかつご本人の中絶の意思がある場合はパートナーの同意署名が無くとも手術は可能です。
お話するのは抵抗があるかもしれませんが、患者様のプライバシーはしっかり守ります。パートナーがいない手術を行う場合は必要なことですので、ご理解をお願いいたします。
どちらかが未成年の場合
この場合、本人とパートナー、さらに未成年の親御さんの同意も必要とします。手術ですので、万が一手術中に予期せぬ事態が発生した場合など、親御さんへの連絡が必要になることがあり得ます。
なかなか両親に相談することが難しいとは思うのですが、妊娠中絶の手術とは人生においてもとても重要な出来事なのです。
費用の問題、術後の体調管理、今後の避妊についてなど、様々な事を相談する必要がありますので、親御さんの同意は必須になります。
よくあるご質問
服装は着替えやすい服装が望ましいです。また、顔色を診るためお化粧はしないか最低限の化粧でお越しください。
中期中絶の場合は、紹介された医療機関にお問い合わせください。
しかし、感染症にかかってしまった場合や子宮頚管裂傷が起こってしまった場合など、妊娠しにくくなるケースもあります。当院では、患者様の安全に最大限配慮したうえで手術をいたしますが、万が一のリスクはご了承ください。