専門医が24時間365日対応できるよう、
体制を万全に整えております。
現在の日本では、5人に1人が帝王切開で出産すると言われるように、状況によっては帝王切開が必要になることがあります。
常勤、非常勤を含め6名の医師が在籍しており、手術が必要と判断した場合に速やかに行うことができます。
原則的に腰椎麻酔にて行いますので、赤ちゃんが生まれる瞬間を感じることができます。
帝王切開について
帝王切開には「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」の2パターンがあります。
- 予定帝王切開
予め帝王切開の日時を決めて、その予定された日に実施する帝王切開のことを予定帝王切開と呼びます。 - 緊急帝王切開
お母さんや胎児の状況によって、急遽すぐに実施する帝王切開のことを緊急帝王切開と呼びます。
帝王切開が始まると、予定帝王切開も緊急帝王切開も同じ流れになります。
様々な状況で本人とご家族の同意を確認し、帝王切開を実施することが決まります。
切開方法について
帝王切開には、お腹の中央を縦に切る「縦切開」とお腹の下部を横に切る「横切開」の2種類の方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
腹部の筋肉や腱が縦に走っているので、縦切開の方が自然で出血も少ないのですが、傷跡がどうしても目立ちます。
横切開は恥毛のすぐ上を切開するので、傷跡が目立ちにくいという利点がありますが手術に時間がかかります。
当院では、基本的に傷跡が目立たない横切開を行っております。
ただし、前回が縦に切開されていれば縦切開になります。
赤ちゃんとの対面について
通常は腰椎麻酔を行いますから、お母さんの意識もあり、赤ちゃんの産声を聞き、赤ちゃんとご対面することができます。
生まれた新生児はインファントウォーマーで診察をし、お母さんの顔の付近へ連れてきて初対面となります。触れたり、一緒に写真や動画を撮ることも可能です。
予定帝王切開となるケース
予定帝王切開とは、予め手術日を決めて帝王切開を実施することです。
予定帝王切開になる「適応」は主に以下のようなケースがあります。
- 既往帝王切開
- 骨盤位(逆子)
- 子宮筋腫核出の既往歴
- 妊娠高血圧症などの母体合併症
既往帝王切開
前回のお産が帝王切開であった場合です。
私が医師になったばかりの昭和63年頃は、前回が帝王切開でも希望があれば今回のお産は「自然分娩」も可能でした。
実際に私も多くの帝王切開後の経膣出産に立ち会ってきました。
しかし、前回帝王切開後の経膣出産中に子宮の破裂が起こり、母子ともに不幸な状況になったというニュースが世間を賑わせ、その時を境に「前回が帝王切開の場合、次の出産は必ず帝王切開」という状況が日本全国で一気に定着するようになったのです。
それ以来、最近では妊婦さん皆さんにこの「1回帝王切開をしたら2回目以降も帝王切開」ということがすっかり周知されている印象です。
実際には子宮の破裂という事態は極めて少ない頻度なのですが、それが起きてしまえば母子共にとても不幸な事態になるので、前回帝王切開の場合は常に次回も帝王切開は十分に理解が得られることだと思います。
骨盤位
いわゆる「逆子」(さかご)です。
逆子の経腟出産については私が医師になった昭和63年には既に帝王切開となることが多かったのですが、当時の先輩のベテラン産婦人科医師はごくごく当たり前に骨盤位の経膣出産をしていました。私も数は少ないですが指導を受けながら経験していました。
しかし、ある一定の頻度で骨盤位のお産で難産になり、新生児に重篤な障害が出てしまうということがニュースになったことにより、やはり帝王切開の方が安全だという事で「逆子は帝王切開」という風潮があっという間に定着しました。
現在では「逆子の経腟出産」を経験したことのある産科医がほとんどいなくなり、まさに絶滅危惧種となっています。
子宮筋腫の核出既往
妊娠出産前に子宮筋腫を指摘され、その後子宮筋腫の核出術を受けている場合、核出した部分が妊娠後期あるいは陣痛の最中に「破裂」する可能性があり、万が一破裂した場合(子宮破裂)胎児はもちろん出血により母体の生命も危険にさらされる状況になり得ます。
子宮筋層内の筋腫を核出した場合、その最悪の事態を避けるために予定帝王切開で出産となります。
個人的には、出産経験の無い女性の子宮筋腫の核出術は決して安易に行うべきではないと考えています。
しかし、現実は腹腔鏡という一見侵襲の少なそうな手術方法の発達によって、近年妊娠経験の無い女性の手術が増えている印象です。子宮筋腫核出術を受けるか否かは是非とも慎重に判断して頂きたいと思います。
妊娠高血圧などの母体合併症
妊娠後期に血圧が上昇する状況は、決して軽快方向へは向かいません。徐々に、時には急激に、血圧の上昇が生じることもあります。
その場合状況に応じて陣痛の誘発をトライして経腟出産を目指すか、あるいはそうなる前に帝王切開で出産とするかを選択します。
緊急帝王切開となるケース
緊急帝王切開とは、分娩が何らかの理由で順調ではなくなった際に緊急で行われる帝王切開のことです。
緊急帝王切開になる「適応」は主に以下のようなケースがあります。
- 分娩中の胎児心音の異常
- 分娩の停止
- その他
分娩は、ある時まで順調に経過していても、何らかの理由で順調ではなくなる場合があります。
その場合は急いで分娩としなければなりません。その方法として、以下のどちらかの選択となります。
- 吸引分娩での経膣出産
- 帝王切開での出産
分娩中の胎児心拍の異常
通常は分娩監視装置として胎児の心拍をモニターしながらのお産となります。何らかの理由で胎児の心拍の低下が生じる場合、「胎児仮死」の診断がつく場合吸引分娩か帝王切開の選択となります。
子宮口も全開していて児頭も下がってきている場合は吸引分娩の選択が可能となりますが、そうで無い場合は緊急帝王切開の選択となります。
分娩の停止
陣痛が弱い、産道が狭い、児頭の回旋が良くない、などの理由で分娩が進まない場合、やはり吸引分娩か緊急帝王切開の選択となります。
吸引分娩で無事にお産になると判断された場合は吸引分娩となりますが、吸引分娩が困難と判断されると緊急帝王切開となります。
その他
母体の発熱
子宮内の感染や母体の感染症などが原因で母体の発熱を見る場合、長期間その状態が続くことによる胎児への影響を懸念して、緊急帝王切開となることがあります。
外陰ヘルペス
陣痛が始まった時点で外陰にヘルペスの潰瘍があると、新生児へのヘルペスの感染、さらにヘルペスウイルスによる新生児ヘルペス脳炎の可能性があり、胎児が産道を通過することを避ける目的で帝王切開となる場合があります。
帝王切開の流れ
当日朝入院し、午後から手術となります。
出産の際の麻酔の副作用をおさえるため、前夜21時以降は絶食していただきます。
点滴のルートを確保、陰毛上部を剃毛し、下肢深部静脈血栓予防のために弾性ストッキングを着用していただきます。
徒歩、あるいは車椅子で入室します。
手術台に横たわっていただき、心電図と血圧計を装着し腰椎麻酔の体位をとっていただいたら、麻酔を行います。
基本的には腰椎麻酔です。
麻酔範囲を確認、胎児の心拍も確認し、十分に麻酔が効いていることを確認してから、手術用のドレープ(特殊な紙の覆布)を身体全体にかけます。
基本的に、執刀医と前立ちと言われる助手の医師の2人で手術にかかります。
執刀は基本的に横切開(横切り)で行います。ただし、前回が縦に切開されていれば縦切開になります。
子宮の下部を横切開して出産。臍帯の切断をし胎盤を子宮内から手で取り出します。
生まれた新生児はインファントウォーマーで診察をし、お母さんの顔の付近へ連れてきて初対面となります。
ご対面の間に、切開した子宮、腹膜、筋膜、脂肪層、皮膚を縫合して終了となります。
手術時間は約30分です。
帝王切開の入院日数と費用
所得区分によって異なりますが、通常、患者様にお支払いただく額は自然分娩より高くなります。ただし、帝王切開での出産に限っては公的医療保険が適用されるため、1ヶ月の医療費が一定の限度額を超えた場合は高額療養費制度の対象となり、負担額が抑えられる場合がございます。そのため、入院前に限度額認定証発行の手続きをいただくようご案内しております。
入院日数 | 費用 | |
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帝王切開 |
初産・経産いずれの方も7日間
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43万円~(所得区分によって異なります)
|
上記金額から一時金(42万円)を引いた金額が退院時支払う費用となります。
(入院費には産科医療補償制度の掛金16,000円が含まれています。)
お支払は退院時に現金もしくはクレジットカード払いでお願いします。詳しくは受付までご相談ください。
同一月内でかかった医療費が一定の金額を超えた場合、高額療養費が支給されます。「限度額適用認定証」という仕組みを使うと、医療機関の窓口で支払う金額が自己負担限度額までとなります。
よくあるご質問
ただし、個人の体質によってはまれにケロイド状になる人もいます。帝王切開の傷跡をできるだけ目立たなくするため、術後に過度な乾燥や擦過などの刺激を与えないなど、ご自宅でもケアしましょう。